月刊まち・コミ〜〜98.9

まち・コミ主催

第3回 御蔵学校

 8月21〜23日の2泊3日で、被災地学習会“御蔵学校”を開催! 
 昨年の夏・春の“御蔵学校”では、参加者各10人未満のこじんまりとしたものだったが、今回は学生を中心に、東京・長野・愛知・岐阜・大阪など各地から、27名が参加した。


21日(金)

 午後暑い日差しの中、集まった参加者とスタッフ全員での開校式、オリエンテーションに続いて、スライドやOHPを使っての「被災地3年半」の説明、一般(まちづくり)と福祉のコース別学習会、そして3グループに分かれて御蔵菅原周辺地区の見学を行う。
  御蔵の住民の方に体験を語っていただく。全焼の被害の中、祖父母・妻・娘3人とで避難した柴本さんや、会社がほぼ全焼の被害を受けた田中社長の困難など、参加者の胸を打ったようだった。

22日(土)

 午前一般コースは真野地区を訪ね、災害当時の住民の活躍の様子や復興への取り組みを聞き、共同立替などを見て回る。福祉コースは兵庫区で障害者運動に携わり、震災後は障害者の作業所を拠点に仮設住宅の支援もされている団体“シティライト”の取り組みをうかがった。
 午後両コースとも西須磨へ行き、震災後に決定された都市計画道路の計画に反対する住民運動をきっかけに、自治会や有志団体として作られた“西須磨まちづくり懇談会”の様々な活動(広報誌の発行や、環境アセスメントなどを経ての公害反対調停団の設立など)について、また地域の福祉を考えようという試みから出来た住民主体の福祉サービス団体の実践のお話をうかがった。一つの地域の中で、様々な視点から地域を考え、かつ実践行動に移すことが出来るその思いと迫力を感じた。
 。御蔵公民館で、特別講義として 神戸大学工学部教授 室崎益輝さんに「阪神・淡路大震災の教訓をこれからの都市防災にどう生かすのか?」というテーマでお話いただく。なぜ未曾有の被災が生み出されたのか、なぜ6千人もの尊い命が失われたのか。その原因を科学的に究明しなければ、その経験を「生かす」ことはありえない。そして震災から3年半が経った現在もそれがなされているとはいえない・・・。震災があぶりだした「課題」について、都市防災の観点からわかりやすくお話しいただいた。
 その後、室崎教授もお迎えして、参加者全員での懇親会へ! 会場は兵庫商会の会議室と屋上。ベトナム料理や神戸の味「そばめし」に手を伸ばしつつ、住民の柴本さんも差し入れをもって参加して下さり、そこかしこに議論や笑いの輪が出来て、大いに盛り上がった。

23日(日)

 午前 >一般コースは、電車で約1時間以上の北区にある鹿の子台仮設住宅で支援活動を行っている“鹿の子台ボランティア連絡会”の方に、一つの地域に新興住宅・仮設住宅・復興公営住宅が混在している状況を(炎天下の中、地域を歩きながら)説明していただき、互いの立場を理解し支え合うためのコミュニティづくりの模索についてお話しいただいた。一方の福祉コースは、西区の西神第7仮設住宅のふれあいセンターで、当仮設の支援活動を行っている“阪神高齢者障害者支援ネットワーク”の方に仮設住宅の現状をお聞きした。住民が少なくなったこの仮設住宅では、痴呆症状を持った方なども含めて高齢者が多く残り、また、仮設住宅に住んでいる、もしくは住んでいたということで差別を受ける事実のなかで、それを乗り越えるため、企業人や高校生などの参加者も含めた支援活動の様子や、仮設住宅を改造してのグループホームづくりなどの意欲的な試みをうかがった。その後、敷地内を歩かせていただいた。大規模仮設住宅のおかれている状況(地理的・風景的)自体に、参加者は強い印象を受けたようであった。目の前には、フェンスに囲まれた仮設住宅の屋根群が、そしてそ の向こうには、人工的な美しい西神ニュータウンの町並みが広がっていた。


ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました !!

真野地区復興まちづくり事務所 清水光久/ともに生きるシティライト協働組合 山根修一
/西須磨まちづくり懇談会 佐藤三郎・岡本碩也/西須磨だんらん 日埜昭子/
阪神高齢者障害者支援ネットワーク 黒田裕子/鹿の子台ボランティア連絡会 西野貴美子
/神戸大学工学部教授 室崎益輝/柴本宏幸/ハートワーキングクラブ/震災しみん情報室
/兜コ庫商会/その他裏方ボランティア                (敬称略)


◆次号では、最終日午後のプログラム「討論会」の模様を含めた『報告part2 参加者の声  &主催者の声 編』を掲載する予定です。お楽しみに !! (あさの)

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