月刊まち・コミ〜〜98.10

まち・コミ主催

第3回 御蔵学校

報告part 2
〜参加者の声・主催者の声編〜

 8月21〜23日の2泊3日で、被災地学習会“御蔵学校”を開催! 
 昨年の夏・春の“御蔵学校”では、参加者各10人未満のこじんまりとしたものだったが、今回は学生を中心に、東京・長野・愛知・岐阜・大阪など各地から、27名が参加した。


さて、参加者のほとんどが18〜24歳くらいまでの学生さんで、社会人の方は2名。みなさん、色々な思いを持って参加し、様々な事を感じたようです。感想カードからその意見を拾ってみました。この企画の内容自体への貴重なご意見もたくさん頂いています。

<参加の目的>
「これからの勉強に結びつくかも」「サークル活動のテーマ“地域福祉”に関しての勉強になるものを得ようと思って」といった福祉系の勉強をされている方から、「震災から3年経って神戸で何が起こっているのかを知るため」「95.1.17以降、震災を出来る限り追い続けていこうと、これまでも被災地を歩いたりしてきたが、もっと勉強したかった」「東京にいると、具体的に理解することが出来ないので」といった方もいて、ほとんどが普段から福祉や行政、災害などの勉強や活動をしていたり、もしくは過去にボランティアや仕事で阪神の救援活動に関わった経験がある方だった。
<参加しての感想>
 まず「実際に現地にきて見てよかった」という人がいる一方「(かなりきれいになっていて)実際に被害のあった町なのか?と感じたが、仮設住宅の存在のギャップにも驚いた」といった意見もあり、“被災当時をどうイメージしてもらうかが既に課題なのだ”と痛感した。
 そうして様々な地域に行ってお話を伺ったのち、最後の討論会では『もしも自分の住む街で大きな震災が起こったとしたら、どのような状況になるか』というテーマで4グループに別れて議論・発表したが、どのグループからもまず「地域にそんなに繋がりがあるわけでなく、ほとんど何もできないのでは」「ベットタウンなので、昼間は男手もないので時間帯による」「自分自身、地域の福祉施設や公共施設の場所さえ知らない」といった意見が出た。そして「マンションなど集合住宅の自治活動も大事ではないか」「個人商店の存在の価値をもっと見直すべき」「地域で顔見知りを増やすだけでも違うのではないか」「コミュニティの出発点はやはり家族だと思う」と様々な考えが出された。
 しかし一方で、「地域が大切とわかっても、結局何をどうしていったらいいのかわからない」という意見や「結局“コミュニティー”(が大事)という所に落ちついたのがかなり意外。それだけではないような気がする」という方もいた。そして「コミュニティーには地域だけではなくネットワーク的コミュニティもあると思う」という意見が出された。テレビ局で報道番組を作られている方は「仕事をしていく上でのネットワークを濃くすることで、災害時に自分を探してくれる人が現れるようがんばりたい。そしてふわふわ移動する市民として、だれか1人でも地域に力をつぎこむ市民を見つけてみたい。」
── 御蔵学校で中心に扱っているのは、“地域”を媒体にした<地縁コミュニティ>です。その中で被
災地の人たちがどう危機に対して努力されているかを学ぶ事を目的としています。しかし、当然問題が複合的に起こる場合、報道機関、行政や福祉のサービス、教育機関、ボランティアの支援活動、職場の体制など、様々な組織間や地域を越えた人間関係によるネットワークも動かなければ、うまくいきません。私はこの様な関係を<知縁コミュニティ>と表現しています。私達は普段様々な役割(ex.企業の管理職であり、PTAの役員であり、父親であり、趣味人である)を背負って生きています。ですから、その立場、役割によって考えることは当然少しづつ異なってくるでしょう。しかし我々はどの様な人間でも、一人の地域生活者です。その視点をもてばこそ、他の立場にあっても何をすべきであるかがきちんと見えてくるのではないでしょうか。それは、心身共に豊かにくらすために私達は日々を送っていると思うからです。
〈その他企画内容や運営に関して〉
 「もう少し地元の方、仮設の住民の方などのお話も聞きたかった」「住民側の意見ばかりで、行政の考え方などについて聞けず、片寄った見方になってしまうのではないか」と様々な反応があった。また、「震災のことを伝えたいのか、普遍的な事を伝えたいのか」「参加者同士の繋がりは重視しなくて良いのか」「何を伝えたいのか」など、「“まち・コミ”が何を目的として御蔵学校を開催しているのか分からなかった」という厳しいご意見も頂いた。 「スケジュールの見直しが必要では」という意見も、多く聞かれた。「資料を読む時間」「質問の時間」「話し合いの自由時間」をもっと作るべきではないかという内容。また、「懇親会の次の日の朝の出発がとても早いというのは問題では」という意見もあり、かなり反省させらた。
 そして、最後の討論会の中途半端さを残念がる声も多かった。「最終日をまるまる1日使って発表・討論を行っても良かったのではないか」「他大学の人と話せて良かった」「もっと交流の場が欲しかった」という意見も同じところに通じるだろう。
───準備段階での企画内容の細かい検討不足がかなり問題でした。
今回の経験を今後の企画や受入れの中に生かして行く考えです。また、裏方スタッフ協力を申し出てくれた方たちに大きく支えられました。参加者・スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。
 ※記録のテープおこしをしてくれてる方々、よろしくお願いいたします。

(あさの)

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